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ケアマネージャーの友 

「紹介したいご夫婦がいるんだ。私の友達でこんな事をやりたいと言っている人がいると、
その方たちには時々話をしてきた。やっと、その思いが形になる準備が出来たと話すと、
是非会いたいと言ってくれている」


親友のケアマネは、自分の休みの日を使って、その方たちを私に会わせたいといってくれた。

日差しの降り注ぐ窓に面したソファーに、数年前に体調を崩された奥様は
ちょっと緊張した面持ちでちょこんと座っていた。

一生懸命に夫婦二人の暮らしを引っ張ってきたご主人様が特性のコーヒーを入れてくれた。

お盆に乗せて運ばれてきた四つのコーヒーカップ。

そのカップがそれぞれの前に置かれる様を観察しながら、
私は驚いた。

「これはお母さんのカップ、これはお父さんのカップ、
そしてこれは○○さんのカップ...」

お二人はそう口にしながらコーヒーカップを取り分けていった。

小さな花柄の可憐なコーヒーカップ

ケアマネージャーである彼女専用のコーヒーカップが
この家には、あるんだ...

友は私の手前か、恥ずかしそうにそのカップを自分の前に引き寄せた。

この三人の仕草に、私が知るすべもなかった
ケアマネと老夫婦の、これまでのやさしい時の流れが見えた。


元教員だったというお二人。

「教師の仕事はいかがでしたか?」と問いかけると

「それはそれは楽しい仕事でした」と大正生まれの奥様

「定時制の子供達と一緒になって頭を下げて回ったこと、
彼らの為に財産をなげうって走り回ったこと、沢山の暮らしぶりを見せてもらったこと、
あの頃の自分があるおかげで、年を取った今、予想だにしない事が起こっても、
心穏やかに生きていることが出来ます。

今の自分達があるのは、みんな働いていたあの頃のおかげです」

とおっしゃるご主人様。


素晴らしい仕事をされてきたのですねと問いかけると、

「自分達は素晴らしくなんか無いですよ、でも、素晴らしい仕事でした...」と。

生き続けてみて、生かされ続けてみて、与えられる喜び、ぬぐう事の出来ない寂しさ、
そんなすべてを受け入れながら

「目の前の○○さん(ケアマネ)を、娘だと思うことで生きてゆくことが出来ます」というお二人。


そうか、これがケアマネの真髄なのか...


彼女の事を娘のように慕う利用者さんは、きっとこの方達だけでは無いだろう


そして、彼女も私と同じことを口にする


「自分の親には、ダメなんですよね、優しい言葉をかけてあげることも
十分に話を聞いて頷いてあげることも出来ない。親子では出来ないことがあるんです。
親子って、一体ナニモノなんでしょうか?」

親子ほど年の離れた、全く違う人生を歩んできた四人で
頷きあった時間。

親子って、家族って、生きるって、老いるって、
一体ナニモノなんだろう

49才、第七のステージでこれから、自分の人生の先達たちから
十分に学ばせてもらうチャンスを頂く新しい仕事

期待と不安が交差する、未知の光の世界。

しっかりと流されてゆく覚悟を決めろと、
これから始まろうとしている仕事の怖さと輝きを見せてくれたのは

私の友の前に差し出された

小さな花柄のコーヒーカップだった。


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